「Excelの関数がわからなくて時間がかかる」
「データを集めたが、どう整理すればいいかわからない」
「毎月同じ作業を繰り返していて、もっと効率化したい」
ExcelやスプレッドシートのデータNの整理は、多くのビジネスパーソンが「なんとなくやっている」作業の代表格です。AIを活用すれば、関数がわからなくても、整理の方針が見えなくても、作業手順を知らなくても、プロレベルのデータ処理ができます。
この記事では、Excel・データ整理の全工程で使える実践プロンプトを全14パターン掲載します。
この記事でわかること:
- 関数・数式をAIに書いてもらう方法
- データの「クレンジング・整理」をAIで設計する
- 集計・分析の方針をAIに相談する
- グラフ・レポートの作り方をAIに教えてもらう
- AI Excel活用に共通する5つの鉄則
前回記事との関係:
AIで「企画書・提案書」を作る完全ガイド(#5)では企画書の作成フローをAIで効率化する方法を解説しました。今回は数字・データを扱う場面に特化し、ExcelとスプレッドシートをAIで最速で操る方法をお伝えします。
なぜ「Excel作業」にAIが効くのか
Excel作業で時間がかかる理由は3つあります。
1. 関数・数式がわからない
やりたいことは明確なのに、「どの関数を使えばいいか」「どう組み合わせるか」がわからず手が止まる。
2. データの「汚れ」に気づかない
表記ゆれ・空白・重複・形式の不一致など、データ品質の問題を見つけて修正するのに時間がかかる。
3. 「どう見せるか」の設計ができない
データはあるが、「何をどう集計すれば意味ある示唆が出るか」の方針が立てられない。
AIはこの3つすべてに効きます。AIを「関数の辞書」「データ品質チェッカー」「分析設計士」として使うことで、Excel作業が根本から変わります。
第1章:「関数・数式」をAIに書いてもらう
場面1 | やりたいことを言葉で伝えて関数を作ってもらう
ビフォー: 「VLOOKUP」「INDEX/MATCH」の使い方を毎回調べている
アフター: やりたいことを日本語で伝えるだけで、使える関数式が返ってくる
プロンプト例:
Excelで以下の操作をする関数・数式を教えてください。
【やりたいこと】
(例:A列に商品名、B列に売上金額があります。C列に「売上金額が5万円以上なら"達成"、未満なら"未達"」と表示したい)
【使っているツール】
・Excel / Google スプレッドシート(どちらか)
・バージョン:(Excel 2019 / Microsoft 365 など、わかれば)
【出力してほしいこと】
・使う関数名と数式(そのままセルに貼り付けられる形で)
・数式の読み方(各部分が何をしているか)
・応用のヒント(似た場面でも使える派生形)
ポイント: 「そのままセルに貼り付けられる形で」と指定すると、コピペで使える状態で返ってきます。
場面2 | エラーの原因を診断してもらう
ビフォー: #VALUE! や #REF! が出て、何が間違っているかわからない
アフター: エラーの原因と修正方法がすぐわかる
Excelの数式でエラーが出ています。原因と修正方法を教えてください。
【エラーが出ている数式】
(数式をそのまま貼り付け)
【エラーの種類】
(例:#VALUE! / #REF! / #N/A / #DIV/0! など)
【データの状況】
・参照しているセルの内容(例:A列は文字列、B列は数値)
・表の構成(例:1行目がヘッダー、2行目からデータ)
【確認してほしいこと】
・エラーの原因(なぜこのエラーが出るか)
・修正した数式(そのまま使えるもの)
・今後同じエラーを防ぐためのコツ
場面3 | 複数条件の集計・カウントをする
ビフォー: SUMIF、COUNTIF、COUNTIFSの違いがわからず毎回調べる
アフター: 条件を日本語で伝えるだけで正確な集計式が得られる
以下の条件でExcelの集計をしたいです。適切な関数と数式を教えてください。
【集計したいこと】
(例:D列「部門」が「営業部」で、かつE列「売上」が10万円以上の行だけの合計を出したい)
【データの構造】
・何行目からデータが始まるか:(例:2行目)
・データの最終行の目安:(例:100行まで想定)
・各列の内容:(例:A列=日付 / B列=担当者 / C列=商品 / D列=部門 / E列=売上)
数式はそのまま使えるセル参照の形で出力してください。
第2章:「データの整理・クレンジング」をAIで設計する
場面4 | データの「汚れ」をチェックする観点を教えてもらう
ビフォー: データをもらったが、何をチェックすればいいかわからない
アフター: データ品質確認のチェックリストがすぐ手に入る
以下のデータを分析に使う前に、品質チェックをしたいです。確認すべき観点と方法を教えてください。
【データの概要】
・何のデータか:(例:過去1年間の顧客購入履歴)
・行数・列数の目安:(例:約500行・8列)
・主な列の内容:(例:日付・顧客ID・商品名・金額・担当者名・地域・カテゴリ)
【チェックしてほしい観点】
・空白・欠損値の確認方法
・重複データの見つけ方
・表記ゆれの確認(例:「東京都」「東京」「Tokyo」の混在)
・数値の異常値・外れ値の検出
・日付形式の不統一
各観点ごとに「Excelでどう確認するか(関数・操作手順)」をセットで教えてください。
場面5 | 表記ゆれ・データ統一の方法を教えてもらう
ビフォー: 「株式会社〇〇」「(株)〇〇」「〇〇株式会社」が混在していて集計できない
アフター: 統一するための具体的な手順と関数が手に入る
以下の表記ゆれ問題を解決する方法をExcelで教えてください。
【問題の内容】
(例:会社名の列に「株式会社〇〇」「(株)〇〇」「〇〇(株)」が混在している。すべて「〇〇株式会社」形式に統一したい)
【データの場所】
・ゆれがある列:(例:B列)
・データ件数:(例:約200件)
【解決してほしいこと】
・SUBSTITUTE関数などを使った変換方法
・一括置換で対応できる手順
・変換後にチェックする方法
・自動化できる場合はその方法も
場面6 | データを分析用に「整形」する方法を教えてもらう
ビフォー: もらったデータがそのままでは集計に使えない形になっている
アフター: 分析に使いやすい形への整形手順が明確になる
以下のデータを分析しやすい形に整形したいです。方法を教えてください。
【現在のデータの形】
(例:1行に1人の1年分の月別売上が横に並んでいる。1月〜12月が列になっている)
【理想のデータの形】
(例:1行に「氏名・月・売上」の3列で縦に並べたい)
【使うツール】
Excel / Google スプレッドシート
このデータ変換の手順(ピボット・関数・コピペなど)を具体的に教えてください。
マクロが必要な場合はVBAコードも書いてください。
ポイント: 「現在の形」と「理想の形」を明示するだけで、AIが変換方法を正確に提案できます。
第3章:「集計・分析」の方針をAIに相談する
場面7 | どう集計すれば有益な示唆が出るか相談する
ビフォー: データはあるが「何を集計すれば意味があるか」がわからない
アフター: 目的に合った分析の切り口が複数提案される
以下のデータから、ビジネス判断に使える示唆を引き出したいです。どう集計・分析すればよいか提案してください。
【データの概要】
・何のデータか:(例:ECサイトの過去6ヶ月の注文データ)
・主な列:(例:注文日・顧客ID・商品カテゴリ・金額・決済方法・地域)
・行数:(例:約3,000件)
【知りたいこと・判断したいこと】
(例:どの商品カテゴリが伸びているか、リピート率が高い顧客の特徴は何か)
【提案してほしいこと】
・分析の切り口(どの軸で集計するか)を3〜5個
・各切り口でどんな示唆が得られるか
・優先して見るべき分析はどれか(理由も)
・Excelでの具体的な集計方法(ピボットテーブル、SUMIFS等)
場面8 | ピボットテーブルの設定を教えてもらう
ビフォー: ピボットテーブルを使いたいが、どこに何を設定すればいいかわからない
アフター: 行・列・値・フィルターの設定を具体的に教えてもらえる
以下の集計をピボットテーブルで実現する設定方法を教えてください。
【やりたい集計】
(例:部門別・月別の売上合計を一覧表にしたい)
【データの構造】
・列の内容:(例:A列=日付 / B列=部門 / C列=担当者 / D列=売上金額)
【教えてほしいこと】
・ピボットテーブルの「行」「列」「値」「フィルター」にそれぞれ何を設定するか
・集計方法(合計・平均・カウントなど)の選び方
・見やすくするための書式設定のコツ(あれば)
場面9 | データから読み取れる傾向をAIに解釈してもらう
ビフォー: グラフや集計表を作ったが「で、これは何を意味するの?」がわからない
アフター: データの傾向・異常・改善余地をAIが解釈してくれる
以下の集計結果から、ビジネス的な読み取りと示唆を教えてください。
【集計結果(テキストで貼り付け)】
(例:月別売上の推移・部門別比較・前年比など)
【背景・前提】
・これは何のデータか:
・良い状態の目安(目標・業界平均など):
・現在の懸念点(わかっていれば):
【読み取ってほしいこと】
・全体の傾向(伸びている・下がっている・横ばいなど)
・気になる異常値・特徴的なポイント
・改善が必要そうな箇所
・次のアクションとして考えられること(Top3)
第4章:シーン別プロンプト集
シーン A | グラフの種類選びを相談する
以下のデータを可視化したいです。最適なグラフの種類と作り方を教えてください。
【データの内容】
(例:月別売上の推移 / 部門別のシェア / 2つの指標の相関 など)
【伝えたいこと】
(例:増加傾向を見せたい / 比率の違いを比べたい / 2つの関係性を示したい)
【出力してほしいこと】
・推奨グラフの種類とその理由
・Excelでの作成手順(クリック操作ベースで)
・見やすくするための書式のポイント(色・軸・凡例)
シーン B | 月次レポートの自動化を考える
以下の月次レポート作業を効率化・自動化したいです。方法を提案してください。
【現在の作業内容】
・毎月やっていること(手順を箇条書きで)
・どこに時間がかかっているか
【使っているツール】
Excel / Google スプレッドシート / その他
【実現したいこと】
・データを貼るだけで集計・グラフが更新される仕組み
・VBAマクロが必要な場合はコードも書いてください
・難しい場合は「どの部分だけでも自動化できるか」も教えてください
シーン C | VBAマクロのコードを書いてもらう
以下の繰り返し作業をExcel VBAで自動化するコードを書いてください。
【自動化したい作業】
(例:A列のデータを元に、条件に合う行だけを別シートにコピーする)
【データの構造】
・シート名:
・処理する範囲:(例:A列からG列、2行目からデータあり)
・条件:(例:F列の値が「完了」の行だけ)
【出力してほしいこと】
・VBAコード(コメント付き)
・コードの動かし方(マクロの実行手順)
・エラーが出た場合の対処法
シーン D | スプレッドシートの設計を相談する
以下の目的に合ったExcel(またはGoogleスプレッドシート)の設計を提案してください。
【管理したいもの】
(例:チームの週次タスク進捗管理 / 月次予算と実績の管理 / 顧客リストと対応状況)
【使う人・状況】
・使う人数:
・更新頻度:(例:毎日 / 週1 / 月1)
・スキルレベル:(例:Excel初心者が使う)
【提案してほしいこと】
・シート構成(何枚必要か・それぞれの役割)
・各シートの列設計(何を記録するか)
・自動計算・集計に使える関数の提案
・運用で気をつけるべきポイント
AI Excel活用に共通する5つの鉄則
鉄則1:「やりたいこと」を日本語で具体的に書く
「VLOOKUP教えて」ではなく「A列の商品コードをD列の対応表と照合して、E列の価格を返したい」のように、目的・データの場所・求める結果を日本語で書くことで、そのまま使える関数が返ってきます。
鉄則2:データの構造を必ず伝える
列の内容・ヘッダーの有無・データの開始行を伝えると、AIが実際のセル参照を含む数式を生成できます。「A列が〇〇、B列が〇〇」の一言が精度を大きく上げます。
鉄則3:エラーはそのまま貼る
#VALUE! や #N/A などのエラーが出たら、エラーの種類と数式をそのまま貼るだけで診断できます。検索するより圧倒的に速く原因がわかります。
鉄則4:「自動化できますか?」と毎回聞く
繰り返し作業が出てきたら、必ず「これをVBAやGASで自動化できますか?」と聞きましょう。AIはコードも書いてくれます。毎月1時間かかっていた作業が、1クリックになることもあります。
鉄則5:コードは「動かし方」もセットで聞く
VBAやGAS(Google Apps Script)のコードをもらったら、「このコードの動かし方を初心者向けに手順で教えてください」と必ずセットで聞きましょう。コードだけもらっても動かせなければ意味がありません。
まとめ
Excelの作業でAIが最も力を発揮するのは「関数を調べる時間をゼロにする」ことです。やりたいことを日本語で伝えるだけで、そのまま使える数式が手に入ります。
この記事のプロンプトは今日のExcel作業からそのまま使えます。まず場面1「関数を作ってもらう」から試してみてください。「調べる時間」が消えるだけで、作業時間が体感で半分以下になります。
シリーズナビ:AI仕事活用
| # | タイトル | テーマ |
|---|---|---|
| 1 | 今日から使えるAI仕事即活用術50選 | 全体俯瞰・入門 |
| 2 | AIで「メール・報告書・議事録」を10倍速で書く | 文書作成 |
| 3 | AIで「会議の質」を変える | 会議効率化 |
| 4 | AIで「情報収集・調査」を10倍速にする | 情報収集・リサーチ |
| 5 | AIで「企画書・提案書」を作る完全ガイド | 企画書・提案書作成 |
| 6 | AIで「ExcelとデータNの整理」を10倍速にする(この記事) | Excel・データ整理 |
| 7 | AIで「プレゼン資料」を最速で仕上げる | プレゼン・スライド |
| 8 | AIで「SNS・コンテンツ発信」を効率化する | SNS・コンテンツ発信 |